近年、「治りにくいこどもの急性中耳炎」が増加していることが大きな問題になっています。
なぜでしょうか?それは「耐性菌」という強い菌が増加していることが一つの原因です。
人間が抗生物質を開発して細菌を退治すると、今度は細菌が進化して抗生物質に抵抗力を備えてきます(菌の耐性化)。
抵抗力を持った細菌を退治するために新しい抗生物質を開発すると、しばらくして、さらに細菌が耐性化します。
医療の歴史ではこの繰り返しが起こっています。
その結果、現在では、抗生物質が極めて効きにくい細菌が日常的に存在しています。MRSAとかPRSPなど、たくさんの種類の
耐性菌が存在しています。
一人のこどもを例にとっても、抗生物質を無計画に使いすぎると、菌の耐性化が起こり「難治性の中耳炎」になります。
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体内で抗生剤の攻撃を受けた細菌は、融けたり破裂したりして死滅して行きます。しかし、中には生き延びるものがいて、それらは抗生剤の攻撃パターンを学習し、防御機能を備えます。 |
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ひとたび耐性化した菌に対しては、同じ抗生物質の効果はほとんどなくなります。また、耐性化した菌は耐性化の情報を次の世代に伝達して増殖して行きます。 |
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↑ 抗生剤で破裂死滅した菌 円形のものは 生き延びて耐性化した菌 |
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完全に耐性化した菌。
左隣の青い菌に
耐性化情報を伝達して
いる。(中央のリング) |
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