突 発 性 難 聴



 「突発性難聴」は、 耳の疾患を専門とする医師が集まる学会でも議論の絶えない疾患であり、様々な考え方や治療方針があります。 そのため受診した医療機関によって説明や治療が違う場合もあると思います。このページでは、突発性難聴の一般的な 事項とともに、長年大学病院の聴覚専門外来で数多くの「突発性難聴」の治療に携わってきた経験を踏まえて 私の考え方を記載します。 皆様の治療および疾患理解にとって少しでも参考になればと思います。 信頼できる医師のもと、納得できる治療を受けられるようにお祈りいたします。 ただし、十分な治療を行なっても治癒しない可能性がある疾患ですので、納得=治癒ではないことはご理解下さい。
 一番下から、「原因」「治療について」「他の疾患との鑑別」「特定疾患の申請」のページに行けますが、その前に大事なことがありますので、 以下、ご一読下さい。

もし、あなたが急に片方の耳が聞こえなくなって、医療機関で初診時に「突発性難聴」の診断を受けた場合、  それは「突発性難聴の可能性が極めて高い (わずかに他の疾患の可能性もある)」ということです。

右の図をご覧下さい。急に片方の耳が聞こえなく なる病気はたくさんあります。その中で、聞こえの神経に異常が起こったものを「急性感音難聴」と言います。
急性感音難聴の中にはさらに多くの病気があり、「突発性難聴」もその中の一つです。 なので、厳密にはいくつかの検査をして鑑別診断をしてゆく必要があります。 しかしながら、のんびりしていると治療が遅れ、治らなくなる可能性があるので、 まずは「突発性難聴」に準じて治療を開始する必要があります。 治療を進めながら検査を行い、別の診断になる 可能性もありますが、そうだとしても初期に行なう治療は 「急性感音難聴」である他の疾患の大部分に対しても行われるものですので、 あまり問題はありません。

 「突発性難聴」と言われて治療を開始したが、治りが良くなく通院先を変えたところ「突発性難聴でない可能性もある」とか 「脳腫瘍の可能性もある」と言われ不安になった ・・などという患者の方を見てまいりました。いずれも医師と患者のコミュニケーション不足で生じることと思います。 外来診療の限られた時間ですべてをお話するのは非常に難しいのですが、上記のことはいずれも「可能性が(少しは)ある・・」ということです。
まずはしっかりと治療をすすめながら、検査を受けられることをおすすめいたします。



原因について

治療について

他の疾患との鑑別

特定疾患申請