真珠腫性中耳炎・中耳真珠腫

 耳の病気の中に、「真珠腫性中耳炎」とか「中耳真珠腫」と呼ばれるものがあります。 これらは中耳に「真珠腫」というものができる病気です。真珠腫の周囲に感染・炎症を 伴えば「真珠腫性中耳炎」ということになりますし、炎症所見がなく無症状・あるいは炎症と関係ない症状が 出たものは「中耳真珠腫」という呼び名になります。(外耳道にできることもあり、それは「外耳道真珠腫」と呼ばれます。)
 真珠腫は大きく分類すると1)後天性真珠腫、2)先天性真珠腫に分かれます。 ここでは、真珠腫はどうしてできるのか、さらにはどう治療あるいは対処をしてゆくべきなのかを解説します。

●真珠腫ができることを理解するために
 人間の体というのは、表面になっている部分とそうでない部分があります。表面の代表的なものは皮膚ですが、 口の中やのどの粘膜、胃や腸の粘膜も、体の内腔の表面になります。このように表面を覆うものは「上皮(じょうひ)」と 呼ばれます。一方、表面が皮膚や粘膜で保護された深部の組織は「間質(かんしつ)」と呼ばれます。
 上皮は常に新陳代謝を繰り返し、表面がはがれて新しい上皮が形成されます。古くなってはがれた表面上皮として 身近に目にするのは、皆さんがお風呂でこすり落とす、体の「垢(あか)」ですね。

 右の図1のように、もし上皮の一部が間質の方に陥没するとどうなるでしょうか? 陥没した上皮も常に「垢(あか)」を出します。 もし、陥没した部分が「袋」のような形になり、入り口が狭くなってしまうと 垢(あか)は出てゆくことができずに「袋」の中に溜まり続けます。 すると、垢(あか)を溜めた袋はどんどん大きくなっていってしまいます。
 このようにして、内部に垢(あか)を溜めた袋が中耳にできたものを 「真珠腫」と呼んでいます。垢(あか)なのに「真珠」?と思われるかもしれませんが 感染を伴わない真珠腫は、文字通り真珠のような白いきれいな色をしています。
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