1)耳の穴の中が痛い場合
まず考えられるのは、急性中耳炎や外耳道炎です。
急性中耳炎は主に鼻などの上気道から菌が中耳に入り込んで起こる感染症です。
小児に多いですが、成人でも発症します。耳の穴からの診察で容易に診断がつきます。
耳漏(じろう=みみだれ)が出ることもあります。急性中耳炎ではなく、もともと慢性中耳炎や真珠腫性中耳炎などを持っていて
それらが急に悪化して痛みが出ることもあります。できるだけ早く診察を受けることをお勧めします。
外耳道炎は耳の穴の中の皮膚に炎症が起こった状態です。耳かきのしすぎで起こることが多いです。
綿棒での耳掃除も、やはり細かい傷をつけることがあるので注意が必要です。
治り難いものは、背景にアレルギー性の皮膚の湿疹があることもあります。
詳細は疾患のページをご覧下さい。
その他にもウィルスの感染や腫瘍(しゅよう;でき物)、あるいは舌咽神経などの神経痛でも痛みが起こります。
ウィルスの感染では耳が痛くなった後で顔面神経麻痺が出現することもあります。
これらの診断のためには、診察だけではなく血液検査やCT、MRIなどの画像検査が必要になります。
2)耳の周囲や耳介が痛い場合
外傷や、寝ていた時に枕がずっと当たっていた・・などの思い当たることが無ければ
耳の周囲のどこかの炎症や神経痛を考えますが、耳介軟骨膜炎(じかいなんこつまくえん)などの少し変わった病気のこともあります。
痛い部位の近くの皮膚に小さな穴が開いていて、そこから浸出液(しんしゅつえき;汁状の液体)が出ていれば、
先天性耳瘻孔(せんてんせいじろうこう)と言って、生まれつきある皮膚の表面の小さな穴に感染を起こしたものの可能性があります。
抗生物質の内服が必要で、症状が強ければ手術治療をすることもあります。
また1)2)ともにあり得ることですが、「耳が痛いから耳のどこかに原因があるだろう」と思っていても、
実は咽頭(いんとう;のど)や扁桃腺(へんとうせん)の炎症や腫瘍だったり、
食道や胃などの消化管の病気が原因のこともあります。
「関連痛」と言って、原因となる病気と少し離れた部位で痛みが起こることは人間の体ではときどきあります。
CT・MRIなどの画像検査が必要なこともあります。診察と問診から消化管の異常などが疑われれば内科へご紹介いたします。
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