扁 桃 炎 に つ い て

口蓋扁桃
表面のクレーターの様なくぼみから
アリの巣のような構造がある

 扁桃炎(へんとうえん)は口の奥にある口蓋扁桃(こうがいへんとう)に炎症が起こったものです。 症状の出方によって、急性扁桃炎と慢性扁桃炎に分かれます。
左は口蓋扁桃の図です。口蓋扁桃は表面にたくさんの穴が開いていおり、 内部が「アリの巣」のような構造になっています。 この中に、細菌が入り込んで炎症を起こすと扁桃炎になります。 症状が急激に出現し、高い熱や強いのどの痛みが出ると「急性扁桃炎」という診断になりますし、 細菌が扁桃の中に住みついて慢性的なのどの違和感や軽い痛みが出たり、 あるいは急性扁桃炎をしばしば繰り返すようであると 「慢性扁桃炎」という診断になります。

 慢性扁桃炎の中には「病巣感染」と呼ばれる特殊な状態になるものがあります。
これは、扁桃の中に慢性的に居座った細菌が作り出す 「有害物質」が、血液の中に入り込んで起こる、と考えるとわかりやすいと思います。 血液に入り込んだ「有害物質」は様々な他の臓器や部位にたどりつき、そこに溜まって行きます。 その人の体質によっては、それぞれの臓器や部位において、その「有害物質」によって起こるダメージや、 「有害物質」に対して生じる体の反応は様々です。 「有害物質」に対するダメージや反応が強く起こると、何らかの病変が生じます。
ダメージを受けたり、反応が生じる部位は、皮膚・腎臓・関節など様々です。
 このように扁桃の慢性的な感染状態から生じる、他の臓器・部位での病気を 「扁桃病巣感染による○○○」と呼びます。例えば、扁桃病巣感染による腎障害などです。 皮膚の病気である、掌蹠膿胞症(しょうせきのうほうしょう)や腎臓のIgA腎症などは 病巣感染であることが多く認められます。場合によっては、手術による扁桃摘出で 症状が軽快することがあります。反応が生じた部位の専門科(皮膚科や腎臓内科など)と 耳鼻咽喉科の医師と患者で十分に相談して治療を決める必要があります。

 


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