こどもの中耳炎について

治療についての考え方

 こどもの中耳炎の治療に関しては、耳鼻咽喉科の医師が集まる学会でも、さまざまな議論がなされています。
実は、治療のために考えなくてはならない要素がたくさんあるので、この治療法がベスト!という一つのものはないと思います。 鼓膜切開をする・・しない、抗生剤を処方する・・しない、など、医師によって考え方や方針は異なります。 病院によって、医師によって言うことが違うというのはこの辺が原因だと思います。それぞれの方針にそれぞれ長所と短所があると思います。どの方法も最終的な治癒率には大差はないのかもしれません。大切なのは、 できるだけ同じ治療方針の医師の元で治療を進めて行くことだと思います。


みんな言うこと違うけど
どうしたらいいの?

 長年、中耳炎の治療にかかわってきた経験から、9割以上の子は年齢とともに中耳炎にかかりにくくなり、 中学生や高校生の時点では何の問題もなくなります。一方で、中には治療が非常に大変でなかなか治らず、 成人しても難聴や耳だれなどに悩まされ、手術が必要になる子もいます。
 まず
大切なのは、@成長とともに治ってゆく子なのか、 それともA成人になっても中耳炎と付き合って行く必要のある子なのか・・を見極めることです。 @成長とともに治ってゆく子も、7歳くらいまでには様々な中耳炎症状で悩まされますので、その期間に いかに効果的な治療を、本人や保護者の生活上の負担をいかに少なく提供できるか・・・が質の高い治療と思います。 また、Aのお子さんは、やはり積極的な治療をすすめて行く必要があると思いますし、 症状が安定してもしっかり通院し状況のチェック・管理をしてゆく必要があります。

 ずいぶん通院しているのに中耳炎が一向に治らないというお子さんもいると思います。 たしかにどのように治療しても、「治った」という状態に持ってゆけないお子さんがいます。 耳や鼻の構造上の問題だったり、生活習慣の問題だったりします。 治すことができないまでも、少しでも症状を軽減して、受診回数を減らせるように考えて行かなくてはなりません。 どうして治りにくいのか、治りにくい場合には、 どうすれば治る可能性を高められるのかを、 漫然と診察を継続するのではなく医師からしっかり説明を受けて下さい。

 日常生活の留意点としては、風邪が中耳炎の治療経過では大きな敵になります。 せっかく快方に向かっても風邪を引くことによって すべて逆戻りすることもありますから注意が必要です。 さらには、保育園などのいわゆる「集団保育」や子供の楽しみである「プール」も時には悪い影響を与えることもあります。 ただ、これらは子供の養育上必要なことですから、 どのように対処してゆくかは、中耳炎の治療状況を見ながら 保護者と医師の間で相談してゆく必要があると思います。 また、親の喫煙も中耳炎の治療には悪影響を及ぼす可能性があります。

 難治性中耳炎やいくつかの具体的な治療方法(鼓膜切開・鼓膜チューブ・抗生剤の使用)については、 急性中耳炎や滲出性中耳炎のページをご覧下さい。

 

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