「低音障害型感音難聴」と似た症状を呈するものに「突発性難聴」と「メニエール病」があります。
「突発性難聴」と違う点は、突発性難聴は基本的に一度生じると再発しないのですが、
「低音障害型感音難聴」は一度治癒してもまた繰り返し症状が出る可能性があることです。
中にはステロイドを内服していると症状が出ないのに、ステロイドを中止すると症状が出てしまうような
「ステロイド依存性」のタイプも見られます。
また、「突発性難聴」は必ずしも低音部の障害には限らず、難聴の程度も様々で、ひどい場合には
まったく聴こえなくなることもあります。今のところ、「突発性難聴」と「低音障害型感音難聴」は
別の疾患として考えるのが一般的見解です。
(注:突発性難聴と思われる病態で、再発したケースもあります。
ただ、突発性難聴は、その「疾患の定義」として「再発しないもの」と明記されています。
定義に従えば突発性難聴ではないことになります。
ただ、わずかながら再発するものもあるのではないか?という考え方もあり、
学会などでも議論になっています。)
「メニエール病」と異なる点は、「メニエール病」は必ず回転性のめまいを伴いますが、 「低音障害型感音難聴」はめまいを伴いません。あくまでも聞こえの症状だけです。
ただ、最近の学説では、これらは程度の問題であり、「内耳の水ぶくれ」が蝸牛だけでとどまった場合は 「低音障害型感音難聴」で、前庭を含む内耳全体に生じた場合には「メニエール病」になるのではないか・・という
考え方もあります。私はこの学説には賛成派です。2005年度から厚生省特定疾患急性高度難聴研究班が 全国のいくつかの大学病院において臨床検討を行なっています。私も北海道大学の研究班として参加していました。
やはり、まだ原因やメニエール病との関連については明らかにはなっていませんが、 少しずつ解明が進んでいる、そんな疾患だと思います。 何か新しい情報が得られれば、更新してゆきたいと思います。
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