真珠腫性中耳炎・中耳真珠腫(3) 治療について

 真珠腫の治療は手術が大原則です。基本的には真珠腫の診断を受けたらいずれは手術を受けることをお勧めします。 ただし状態によっては外来通院で経過を観てゆくこともあります。
 真珠腫は垢(あか)の塊であり腫瘍ではありませんので、癌に変化したりすることはなく、 腫瘍に比べると大きくなるスピードは極めてゆっくりです。なので手術をひどくあせる必要はありません。 ただし長年放置しておくと周囲の骨を融かしながら増大するので、やっかいな症状が出てきます。 耳漏(みみだれ)、めまい、難聴、顔面神経麻痺、髄膜炎などの可能性があります。 もしすでにこのような症状が出ているようなら、早急に手術を受けることをお勧めいたします。
 先天性真珠腫も同様ですが、先天性真珠腫の中にはごく稀に自然に消えてしまうものがあることが報告されています。 また、後天性の真珠腫でもごく早期のものであれば、前述の「袋」に溜まった垢(あか)を外来通院で定期的に清掃することにより 手術をしないで経過を観察することが可能な方もいらっしゃいます。
 大切なことは、真珠腫の治療に長く関わったことのある医師の診察とCT写真などの画像によって、 状態を正しく評価し、ご本人の生活の都合を考えて最も良い方針を決めることだと思います。
 尚、真珠腫の手術は耳鼻咽喉科医であれば誰でもできるというものではありません。 最低でも年間に10例以上の手術(鼓室形成あるいは中耳根本術)をしている施設での治療をお勧めいたします。 現在ではほとんど全身麻酔で行なう手術です。手術の方法も様々です。 聴力は多少犠牲にしても真珠腫を徹底的に取り除く方法。 再発の可能性はあっても聴力をできるだけ損なわないようにする方法。 手術を2回に分けて行なう方法などいろいろな考え方があります。 それぞれに特徴がありますので執刀医から十分に説明を受けて下さい。 入院期間は施設や術式によって異なりますが通常2週間くらいです。 ただし、先天性真珠腫などの小さなものは2泊3日くらいで行なうこともあります。


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